!!!ウィリアム・A・ブリッジマンの手記 MSZ-006 コードネーム「[[Ζ GUNDAM1A|ΖガンダムMk-I A]]」 テストパイロット=ウィリアム・A・ブリッジマン(アナハイム社テストパイロット) <以下の文章は彼の手記であり、公式記録は別に存在する。> *** 私がその”最終型”のテストパイロットに決まった時点で、すでにそれは月のアナハイムのモビルスーツ・プラントから軌道上のテスト・ベッド・ステーション”CR-1”に移されていた。 「形態はモビルアーマー(タイプIII)型。全長20m。コントロール系はMk-IIタイプと同じ。 G(ガンダリウム)合金による軽量化に成功したガンマガンダム(リックディアス)を上回る飛行性能を有する」という説明が行われたのが2ヶ月前。 そして、今では「理科学技術レベルで最高性能を有するモビルアーマー」という、何とも派手な形容をそれは有していた。 協定時17:05。シャトルは”CR-1”に到着し、2名のコ・テストパイロットとともに2時間に及ぶオリエンを受けた私は、ステーションのドッキングエリアへと向かった。 ・・・・・・私は若干の失望感を味わっていた。 Ζ(ゼータ)と呼ばれる1号機は、ガンダムMk-IV B以来、私たちパイロットから不評をかっていた、形状変更型モビルスーツというやつで、[[Mk-IV B|ガンダムMk-IV B]]と同じく、高機動白兵戦形態から重装甲耐熱降下形態への形状移行を自力で行うものだ。 なにせそのMk-IVBときたら、発進整備に450時間、最終チェックに24時間、そのうえ、形状の移行開始より終了まで10分(技術局の若者は9分だと主張した)もかかる代物で、各パワーユニットがバラバラに分解してそれぞれのバーニアを使って”パズル遊び”をするさまときたら・・・・・・。 笑いごとではすまされなかった、特にパイロットとその家族には。 Ζはメンテナンスの関係上、かなりのアーマーを取り去った状態でメンテナンスベッドに設置されていた。 外観はMk-IIIシリーズのそれを思わせる。この形状で飛ぶのだ。 コクピットに乗り込む、技術局の若者が、ハッチがしまるすき間から「こんどのは早いですよ」と笑いながらささやいた。 リニアシートに身体を固定する。クッションの感じはいい。 発進コードを示して指示を待つ。 「ほう、即発進か」、確かに整備は早いらしい。 ジェネレーターの出力をゆっくりとひきあげる。2000kWまであがった。かなり高い。ドッキングエントリーが機体を宇宙空間に運び、リニアシートがΖを射出した。 エンジンチョークへパワーをまわし、30%出力でスロットルをひく。 11基のスラスターの加速がシートにのしかかる。リアビューサイトにはどんどん離れていくステーションが見える。 出力70%・・・・・・80%。機動スラスターを使って機体が持つのか?水平基定面に対し30度に方位をセット。 姿勢制御スロットルをひく。なめらかな操作性に驚く。 40%減速し、形状変換テストにはいる。 ウェイブライダーモード、チェック。コード4375-8-E35。システム作動。モニターには本機を300mの距離で撮影するリックディアスからの本機の機影がうつる。 キーを叩いて指示する。開始後軽いショックがコクピットをゆさぶったその瞬間、インジケーターが点灯した。 「終了」、「!?」、リックディアスが変型のテイクバック映像を送ってくる。確かに変わった。 それに早い・・・私の脳裏に、あの若い技術士官の顔がよみがえってきた。 ステーションに戻った私は上官に報告した。 「・・・・・・変型は非常に高速で行われ、5回のテストに際して何のトラブルも発生しませんでした。公式な報告書は後日提出いたしますが、閣下、こいつはいい機体ですぜ!」 実際、私はもっとこいつで飛びたかった。 !!関連項目 *ガンダムMk-IV B *ΖガンダムMk-I A !!出典 マイアニメ85年10月号